今回は雲ノ平に行こうとして、結局たどり着けなかったというお話。

某誌のテント泊取材で、雲ノ平に向かうことになったのが出発の2日前。
かなり予定が立て込んでいた週末だったけれど、シーズン終わりの雲ノ平に行ける誘惑に勝てる予定があるはずもなく、方々に頭を下げてキャンセルしまくり、なんとか待ち合わせ場所にたどり着いた。
でも、いま思えば、この時からこの旅はずっとボタンを掛け違っていたのだった。
まず中央道の諏訪から信越道へと入る諏訪のジャンクションをあろうことか見逃して、飯田まで行ってしまった。急いで引き返すものの、これで2時間のロス。
高速を降りてからもカーナビはとんちんかんな道を指し示し、あっち行ったりこっち行ったりで、結局登山口の富山県の折立まで10時間以上もかかってしまった。
三泊四日で折立〜雲ノ平を往復する予定が、結局この日は折立のキャンプ場で一泊するハメに…。

(折立キャンプ場。左からRipen, Tarptent, Big Agness, Hillberg)
今回の旅の面子は、アウトドア・ウェアをインディーズで作っているAndWanderのデザイナー池内さんとライターの松崎さん、そして池内さんがこの夏に北アルプスで出会ったという岐阜県在住の東条さんの四人。
池内さんと東条さんのイケてるテン泊スタイルを撮りまくるという、まあ、イマドキな感じの取材。
とはいえ、来年の夏号用の取材のはずなんだけど、すでに結構寒いんですけど…。

翌日はなんとか天気ももち、折立〜太郎平〜薬師峠のキャンプ場へと快調に足を進めた。
2年前に来た時も思ったけれど、ここは本当に素晴らしいルート&テン場。
こんな場所まで気軽に来れる富山の人がウラヤマシイ。
薬師峠のテン場で本当は雲ノ平でする筈だった撮影を快調にこなし、ほぼ初対面の4人によるパーティも盛り上がるが、夕方遅くに雨が降り出した。
小屋に移動して宴会を続けたものの、就寝は各自テントですることに。
メッシュだらけのTarptent Rainbowのなかを吹き抜ける風を頬に感じつつ、早朝テントから顔を出してみると、広がっていたのはこんな光景だった。

(あの〜、まだ10月の3日なんですけど…)
太郎平小屋へと引き返し、編集部判断を仰ぐと、「撤退」の指示が…。
え゛え゛〜 雲ノ平まで、あと目と鼻の先まで来ているのに…。
とはいえ、取材班として来ている以上、クライアントの指示には従わなくてはならない。
後ろ髪をぶんぶん引っ張られつつも、とぼとぼ降り始める。

すると下り始めて1時間もしないうちに、空はすっかり晴れてしまった。
昨夜の寒波で紅葉も一気に進み、あたりは秋と冬が一気に来たみたいで、こんな日に雲ノ平に行く幸運をみすみす見逃していることに、なんともやるせない気分になる。

(AndWander池内さん。シルバーのToriconiをこんなに着こなす人もそういない)
旅の出発があと1日遅ければ、いや編集部に電話するのがあと1時間遅ければ、もしかしたらいま自分は雲ノ平にいたのかもしれない…。
いや、そんなことを考えてもしょうがない。
そもそも、取材なんかで山に来ているのがいけないんだ。
誰かに連れていってもらって、「自分の山」になるわけがないじゃないか。

折立まで降りてくると、あたりはどこからどう見ても「素晴らしい日」になっていた。
ちくしょう、なんで俺は…こんな日にこんな場所にいるのに…エクスタシーまであと一歩だったのに…。
でもさ、これも「山」なんだよな。
だからまた行きたくなっちまう。
とはいえ、初対面の松崎さんや池内さんとも大いに盛り上がり、刺激にもなり、楽しい旅ではあった。
もっと楽しい旅になるはずだったけどさ。
今度はプライベートで行きましょう。